不寝番にて明けの明星を待つ。
ふと気配を感ず。振り向く前に猪突の如く背中に突進してきたものに押され、危うく焚き火に顔を焼かれるところを踏み止まる。
「まだ大きくなってない!」と嗚咽交じりに詰られる。事情が解からぬ故、仔細を問うべく腕を取らんとするが頑として背中から退かず。
仕方なくそのまま事のうちわけを問い質し、夢は所詮夢であると宥めて賺すが治まらず。「お前は明日死ぬ!」と言い出す始末。縁起でもない。扱いかねて沈思黙考すること暫し、天啓を得る。
「…少なくとも明日は死なん。お前が夢で俺の死を食べてしまった」…子供騙しである。が、子供であったのでそれで納得した様子。毛布を引き摺って来て火の傍へ寄る。
夜明けはまだ遠い。







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